雪崩講演会のレポート
2003年12月17日(水)
目次

2003年12月15日に、雪崩事故防止研究会主催の講演会『雪崩から身を守るために』に参加したHYMLのkamiiさんがHYMLに投稿したレポートを、許可を受けてこちらに転載しました。一部三段山掲示板に書き込まれた、りゅうBさんのレポートも追加させていただきました。

講演の内容は以下の通りでした。
第1部
雪崩の発生メカニズム 
   秋田谷英次(北星学園大学教授 雪と土に親しむ「北の生活館」館長)
第2部 雪崩に遭ったらどうするか 
〜ドキュメント雪崩遭難の事例から〜
  スキーヤーとスノーボーダー、雪崩に流され埋没した体験を語る
  阿部幹雄(雪崩事故防止研究会代表)


講演のレポート

1)雪崩に巻き込まれた時は、
ザックやストックを外すように身体を動かすと沈んでいくように感じるので、そいう場合は雪を掻き少しでも身体が沈まないようにもがいて、上に出る努力をするべきである。
補足(りゅうB):雪崩の流れと90度を目指す・顔前面にエアポケットを作る

2)スキ−の技術は上級者の方が助かる確率が高い。
滑る技術が下手な人は、流された時適切な行動がとれにくく流されたままになるので、雪崩に深く埋まってしまう確率が高い。よって積極的にスキー技術の向上を目指すように・・・。
滑走上級者の場合は、足下が動いている場合でも少しでも雪崩の流真(?)から外れるように対処出来る場合もあるし、冷静に対処できる確率が高いので助かる確率が上がる。

3)雪山でツアーを組む場合、雪崩講習会・滑落訓練等に積極的に出て勉強している等、自分が信頼できる仲間と組むべきである。
即ち、その仲間もセルフレスキューの知識を持ち合わせている事が重要な要素となります。皆バラバラに離れていてリーダーが指示出来なくても適切な行動を各自でとれる人。

4)兎に角登っている途中でも疑問が生じた場合、何回でも必ず弱層テストをするように心掛けるべし!

5)当日だけでなく数日前までの、気象の変化をつかんでおくように。
表層雪崩に関する弱層は、数日前の気象条件が大きな影響を及ぼすので。特に数日前に放射冷却がおきそうな好天気があり、その後ドカ雪が降った場合は、そこに”しもざらめ雪”の弱層があるだろうと思う事。

6)雪崩で仲間が巻き込まれ、どこら辺に居るか分からない場合には、まず確率の高いデブリの末端から探すように!

7)インターネットを通じて知り合った仲間と行動を共にする事への懸念。
阿部幹雄@北海道雪崩事故防止研究会代表さんが、心配していた事。
それは、インターネットのML等でもよく行なうオフミ山行等に付いてです。
スキー技術・雪崩に関する知識・装備品(三種の神器)等々が分からぬ人々とツアーを組む場合は、少なくとも予めリーダーとサブリーダー位は事前に決めておくようにと注意されました。
補足(りゅうB):アイコンタクトやハンドサインで意思疎通が出来るチームワークが必要。MLなどで知り合って技術レベルも知らない仲間と危険な領域を行動する事への警告をされていました。

8)ヘリは30分で来るので、最初に呼ぶ-ヘリを呼ぶときには躊躇無く呼ぶ(りゅうB)-
発生、捜索、要請、到着の手順だと貴重な救命可能な状態の患者の時間を無駄遣いしてしまう可能性や、日没によりヘリが使えなくなる点が説明されていました。
素人考えで時間を無駄遣いするより、プロに任せた方が助かる命が増えるのかもしれません。出来る事は全部やる的発想ですね。
まぁ、情報の収集(事故状況の把握)とそれに伴う判断をするタイミングはあると思うので、運命の分かれ目で正しい判断が出来る様にしたいですね。


お勧めする携帯品(三種の神器)に関して

1)ビーコン
昔はアナログ式を進めていたが、これも日々進化していて、現在ではデジタルビーコンも受信距離が延びオルトボックス「X1」等は受信距離60mとアナログ式と変わりないところまで延び、チップも昨年より改良されて演算速度が速くなったのでデジタルビーコンの方を勧めている。
お勧め機種順位: (1)オルトボックス「X1」 (2)ピープス(3)マムート

2)ゾンデ
これは3m以上の物を選ぶようにする事。それとそれ程強度がないので、1回の捜索活動で壊れるものと覚悟せよ!

3)シャベル
昔はプラスチックの物も多かったが、雪崩のデブリに溜まった雪は堅いので、金属製の物の方が入りが良い。また平らな物の方が弱層テストにも使える。それとスコップの柄の長さですが、これは栃内(秀岳荘)さんの意見でしたが、長い方は少し重いのですが、雪を掘る作業の時の疲れ方が大きく違うので、長い方が良い。
要約: シャベルは金属製で平たく柄の伸びる物がお勧めのようです。

[備考]
スキー上級者と一緒に居るからといってスキー技術の下手な自分が助かる側に回るとは限りません。助ける側に回る場合も十分考えられますので、雪山に登りたいと思っている人は全員、日頃から雪崩・捜索活動・遭難・滑落・低体温症等に関する勉強を欠かせませんようにお願い申し上げます。
それでなければ、私は彼方と一緒に冬山へ入りたいと思いません。
自分も”少しは”助かりたいと思う方ですから・・・(^_^;)

[その他の備品]ゆきみちゃん〔雪観察用セット)
雪観察用ルーペ・雪質判定カード(秋田谷英次先生作成のイラスト付き)・光透過型スノーゲージ(斜度メモリー付き)・情報カード光不透過型スノーゲージ、弱層テスト、積雪強度の評価基準表緊急時の連絡事項表・取扱説明書・専用ケース

販売価格 2,900円(本体価格 2,762円、消費税138円)送料、手数料別
                                
皆さんも是非購入して、家の前で雪を良く観察してみましょう!

購入先:(株)石田商店 札幌市中央区南21条西8丁目1-37
    TEL (011)521-0767 FAX (011)521-2869
    http://www.kane-ishi.com
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