ついに登場!地図入りGPS
-その2-
50m間隔の等高線データと25,000分の1の詳細地図をPCからGPSへ転送してみました。その様子をレポートします。
目次
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MapSourse 日本地図TOPO \16,800(カタログ価格)についてのインプレッション
Map Sourseのパッケージ

○インストールについて
GPSへ日本地図TOPOのデータを転送するには、まずMapSourseをインターネットに接続されたWindowsパソコンへインストールし、インターネット上でプロテクトを解除しなければならない。その際には、MapSourseとGPSのシリアルナンバーが必要となる。
まだGPSのメモリーが少ないので、このように必要に応じてパソコンからデータを転送する方法を取るしかない事は理解できるのだが、一般の登山者、特に中高年登山者にとっては、パソコンの操作やインターネットへの接続は大きな壁になるだろう。
せめて、インターネットでの認証作業を省略することはできないのだろうか?煩わしい作業だ。
近い将来、日本全国の1/25000データを内蔵したGPSが登場して、この問題は解決すると思うが。

○データの転送
GPSには、16MB分の地図データが転送できる。16MBという容量がどの程度のものなのかピンとこないと思うが、地形図がベクトルデータ化されているので、意外と広範囲の地形図が転送できる。
北海道でいうと、概ね20分割されたエリアのうち、9エリア分(15.3MB)を取り込むことができた(下図の青い部分)。北海道の約半分の地形図がGPSへ転送できたことになる。
十勝山系ばかり登っている私にはこれでも十分だが、広範囲に活動する人は、行く場所によってその都度転送作業を行う必要がある。
この転送作業は大変時間がかかる。15.3MBのデータをGPSに転送するのに要した時間は約40分!転送時間の高速化が望まれる。


○操作性について
マップソースをインストールしたところ、新たな問題が発生した。それは表示地図データの増加に伴う、画面再描画時間の増大である。
拡大縮小や地図の移動に5〜15秒程度(地形やスケールによる)も時間がかかるようになってしまった。ただでさえ遅いと思っていたのに、これでは地図をスクロールさせて目的地を探そうとは思わない方が良い。頻繁な拡大縮小も、あまりお勧めしない。小さなディスプレイしか持たない携帯GPSでは、この事が使い勝手を大きく低下させてしまう。
山名から山の位置を探すときには、検索機能を使った方が見つけやすい。ただし、近隣検索(概ね5キロスケールで表示させた画面内のこと)しかできないので注意が必要だ。つまり、あまり遠くの山は検索することが出来ない。変な制限だ。

○地図データについて
1.等高線
この製品の目玉が等高線の表示である。山岳で使用する場合には、等高線が表示されないと話にならない。このデータをどれほど長い間待ち望んでいたことか。
1/25000地形図の等高線は標高10m間隔だが、TOPOでは50m間隔となる。
これをどう見るか難しいところだが、この程度でも自分が大体どこに居るのか分かるし、大まかな山容も掴む事ができるので、進むべき方向もはっきりする。この事は、下図で見比べてもらえれば分かると思う。
しかし、当然の事ながら細い谷や尾根は分からないし、特に崖記号などが省略されているので注意が必要だ。下図で三段山山頂から西へ伸びている崖尾根に注目して欲しい。TOPOのデータでは、その存在がはっきりしなくなっている。三段山噴火口に至っては消滅している。
地図設定で詳細度を最高にすることにより、マップ画面の1.2kmスケールでもフルに等高線が表示される。ただし、この画面を見るには虫眼鏡が必要だ(^_^;)。

三段山周辺の等高線の入っていないデータ(TOPOより)


三段山周辺の等高線(50m間隔)入りデータ(TOPOより)


三段山周辺の1/25000地形図(国土地理院様)

実際に、GPSの画面で見た様子(画像をクリックすると拡大します)
TOPOのデータを転送する前の三段山周辺 800mスケールで表示
TOPOのデータを転送後 800mスケールで表示
500m300m200m

2.山名や山小屋
山名についてはきちんとデータが入っているのでありがたい。三段山周辺で言うと、九条武子歌碑や夫婦岩まで名称が入っているといえば、分かる人には分かるだろう(^_^;)。できれば、山名と共にピークの標高もポップアップで表示してもらいたいところだ。
しかし、山小屋についてはデータの無いものがある。例を挙げると、十勝山系では美瑛避難小屋は入っていても、十勝岳避難小屋や上ホロ避難小屋は入っていない。九条武子歌碑なんかよりも、とても重要なデータだと思うのだが・・登山者の視点でのデータの検証が行われていないのだろう。これは重大な問題だ。
登山者がTOPOのデータを利用する際には、事前に行く山域のデータに重大な欠落が無いか良く確認した方が良い。必要に応じて自分でポイントを登録しておこう。
山名などの表示は、
地図設定->地図設定->ジャンル(POI)尺度選択
の設定がデフォルトのAUTOのままだと、マップ画面で300mよりスケールを縮小すると表示されない。
これでは、使い勝手が悪すぎるので、800mあたりに設定を変更しておこう。
どのスケールでも山名などが表示されないようなら、
地図設定->テキスト->ジャンル(POI)の文字サイズ
を確認しよう。もし文字のサイズが"なし"になっていたら、"小"以上に設定しよう。文字の大きさは、デフォルトでは"大"になっている筈だが、私は等高線を隠さない"小"をお勧めする。

3.林道、登山道
1/25000地形図で、道路がダブルラインになっているものはすべて表示される。
単線になっている道路(幅員1.5〜2.5mの道路)や、林道や登山道を含む点線(幅員1.5m未満の道路)は表示されない。
したがってMTBやオフロードバイクでの林道ツアーではあまり活用できない。
登山道のデータは冬山ではあまり関係ないが、夏山登山者には欲しいデータだと思う。林道は無理でも、せめて登山道のデータくらいは入れても良いと思うのだが。
現状では1/25000地形図などと組み合わせて、マップ画面の等高線などからこれらの道の位置を推測するしかない。

4.河川
河川のデータは、川の幅も含めて割合きっちりと入っているので、カヌー・カヤックを楽しむ人には有効だろう。特に沢登りをする人にとっては、分岐などの判断が行いやすい。しかし、細かな支流のデータが省略されていたり、砂防ダム、滝の記号などは表示されないので注意が必要。

○最後に
今回、このGPSの完成度と高機能に驚くと同時に、改めて1/25000地形図(紙)の情報量の多さに感心した。
GPSに内蔵できるデーターは、1/25000地形図に準拠しているといっても、所詮間引かれたデータである。タウンユースでは十分すぎる情報量を持っているが、登山やハイキング、林道を利用する場合には携帯GPSだけですべてを済ませることはできない。
携帯GPSのマップ画面上に表示された簡易地形図から、1/25000や1/50000地形図などでの現在位置が直感的に分かるようになったという点に意義を見いだすべきだろう。
「なんだ、それだけ?」とは思わないで欲しい。緯経度から地形図上の地点を割り出すということが、今まではどれほど面倒だったことか。GPSの敷居が一気に低くなったことは間違いない。
データ作製元への注文としては、1/25000地形図(紙)からどのような情報を間引いたのか、はっきりしたガイドラインを示してほしい。例えば河川を見ても、支流を省略している基準などがはっきりしない。
最後に、表示されているデータについて、GARMIN社(株)いいよねっと共に地図データの精度および完全性について保証していないことを覚えておこう。現地ではGPSに頼り切ったり慢心しては行けない、今、その場所がどうなっているのか知っているのは貴方だけなのだから。現場では常に五感を研ぎ澄ませよう。

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