腕時計(高度計付き)

Watch

腕時計。これこそ必要不可欠な道具であり、メガネ等を除くと最も身近な道具ではないでしょうか。
そんな腕時計も、山仕様となると 少し勝手が違ってきます。
目次
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まず、腕時計に対する個人的な好みを上げます。
1.視認性の高いデジタル表示であること
2.ラバーバンドであること(金属アレルギーなの)
3.シンプルで格好いいこと

次に、山で使う腕時計の必要条件を上げます。
3.防水
4.バックライト付き
5.丈夫なこと
6.高度計が付いていること
7.グローブ越しの操作性が良いこと
8.誤動作しずらいこと

さあ、これらの条件に当てはまる腕時計はあるでしょうか?
私は今までに5種類くらいの腕時計を試してきました。

●プロトレック以前の時計(詳細は忘れた)
プロトレック以前にも高度表示ができる時計を使用していたのですが、以下の問題点があってすぐ使うのをやめました。
購入の際の注意点とされたほうが、良いと思います(いまどき、このような時計は無いとは思いますが・・・)。

(1)高度表示と時計表示を同時に表示できない。さらに、高度表示をさせておいても、時間がたつと時計表示に戻ってしまう
時計として使うという大前提がある以上、常に高度と同時に時間を表示するのが礼儀だと思うのですが。
もっと理解できないのが一定の時間経過で強制的に高度表示から時計表示へ戻ってしまうことです。たいていグローブ越しに操作できないので、高度を知りたいたびに手袋を脱ぐことを強いられました。とんでもない話です。

(2)時計表示の際にしか、バックライトが点灯できない
時計以外は夜に使わないと思っているのでしょうか?

写真1
●PROTREK twinsensor \20000くらい
プロトレックは、おそらく日本の山屋さんが一番良く使っているモノであり、なかなか良い線をついているのですが、私は連続して二個壊してしまい(二つとも一シーズン保ちませんでした)、それ以来使っていません。
私の買った物はツインセンサーというタイプ(写真1)でしたが、以下の問題点がありました。

(1)強度不足
時計本体とバンドをつなぐ接合ピンのはまる部分が樹脂で出来ており、ザックを背負ったりおろしたりする際に、引っかかって簡単に壊れてしまいました。
だましだまし使用していたのですが、一個目のプロトレックはいつの間にか無くなってしまいました(; ;)。
時計の機能自体はまあまあ良かったし、他に選択肢もなかったので二個目も同じものを買いましたが、こちらも一シーズンで同じ部分が破損し、それ以降は仕方なくひもを通してコンパスと一緒に首からぶら下げていました(写真2)。
写真2
この破損傾向は、何人かバンドが片方外れたままのプロトレックをポケットに入れて使用している他の登山者を目撃したことがあるので、結構多発しているのではないでしょうか?
仮にもアウトドア専用をうたうのなら、一般の時計と同じ接合ピンと樹脂製の受けじゃ強度不足でしょう。せめてGショック並に強度を向上させてもらいたいものです。皆さんがプロトレックを買う際には、ぜひ接合ピンの受けがプラスチックかどうか確認してください。一見金属製に見えても、この部分は樹脂製であることが多いです。

(4)グローブ越しに操作できない(少なくとも、私には)
これは冬の話です。軍手程度なら操作可能でしょう。
私はインナーグローブ、グローブ、オーバーミトンと、三重にグローブをはめているので、どうしようもありません。

(5)電池の交換が自分でできない
販売店によるオールクリア操作が必要です。電池切れの表示には注意しましょう。

(6)格好悪い
すみません。私の主観です。ごつくしてアウトドア製品らしさをだそうとしているのでしょうが、いかんせん子供っぽすぎます。これじゃ、昔のロボットアニメですよ。
もう少し、スマートなデザインにならないかなあ。

カシオは、GPS付きの腕時計を出すなど、大変意欲的なメーカーで、安くて高性能なのは良いのですが
(ちなみに、上記の問題点はすべて私がプロトレックを使用していた3年ほど前の話です。最新型は改良されているのかもしれません。買う前にご自分で調べてみてください。)
ちなみに、普段の生活では私はcasio databankを愛用していました(最近、同じ接合ピン受けの部分から壊れた・・・ははは)。

00.08.31追記:キ様より、プロトレックについて意見を頂きました。
プロトレックは、レディースモデルを選択すると、小さくて引っかかりが少ない。デザインもおとなしめで良い。
標準のベルトは小さすぎるので、交換する必要がある。ナイロン製のベルクロタイプの調子が良い。
冬にもかろうじてボタン操作は出来た。
接合ピン受けの部分は樹脂製だが、ここから壊れたことは無い。(現行機種ではどうか、不明)

写真3
●empexFIELD-MESSE \15000くらい(写真3)
腕時計タイプのボディに多彩な機能。
エンペックス。計測機器メーカーとして有名ですよね。少し大型ですが形は私の好みでした(アヴォセットに似ている)。
強度は問題なし。このバンドなら衣類の上にも装着できるほど自由度が高いので、使い勝手は良いです。特に冬はグローブの上やアウターの上に装着すると、大変使いやすいです。
ただし、時計の存在を忘れてアウターを脱ぐと、どこかへ落としてしまいますので注意しましょう(体験談)。
表示関係もグッドです。高度と時計が同時表示できるし、高度表示も一度設定すればかってに元へ戻るようなことはありません。
高度は9,000mまで1m単位で測定可能。この表示精度はいまのところリストウオッチタイプではこいつだけではないでしょうか?
ここまでは良いことづくしのこの時計。しかし、大きな欠点が・・・

(1)電池の保ちが悪い
うーん。なぜか電池の保ちが悪いんですよ。そのせいか、電池の交換はユーザが自分でできるようになっています。私は一年に二回くらい交換したかなあ。

(2)高度補正がややこしい
高度補正は、高度が判明したときに表示とずれていれば、その都度行う必要があります。しかし、この時計で高度補正を行うと、そのまま時刻の補正モードへ移行しないと高度補正を完了できません。
とても煩わしいです。なんで?とても不思議な仕様です。

(3)誤動作しやすい
操作性に関して、大型ボタンを採用してグローブ越しの操作が楽なのは良いのですが、同時に誤動作しやすいのです・・
特に致命的なのが、高度の補正ボタン(写真でSETと書いてあるボタン)が勝手に押されがちなこと。
山行の途中で、いつの間にか高度表示が明滅しており、正確な高度情報が失われたことが何度かありました。ついでに、上記の問題点との合わせ技で、時刻まで変になっていたことがあります。トホホですよ。時計のくせに時刻さえ信頼できなくなる。
とても残念です。この誤動作問題さえなければ、愛用していたでしょう。
誤って押すことが一番危険なボタンが、あんなに押されやすいところに何の対策もなくついているとは・・・。普通は2秒以上長押ししないとダメとか、さすがにこのボタンだけは少し凹んだところについているとか・・・いろいろ対策してあるものなのですがねえ。

一見機能的に見えるデザインなんですが・・・いつまでも、誤動作しやすい時計をちまちま改良して(バックライトがついたり、コンパスが付いたりしている)売ったりしないで、とっとと次期製品で根本的に改良してほしいものです。

写真4
●Suunto Vector Wristop Computer Watch \25000くらい(写真4)
やっと、出ましたね。カッコイイ登山用デジタル時計。FINLAND-Suunto社 (スント)というコンパスが有名なアウトドア関連メーカーの腕時計です。
フィンランドの製品ってあまり見かけないけど、ノキアといい、北欧製品にはデザイン性の高いものが多いです。
数年前から出ていて、興味津々でしばらく様子見をしていましたが、皆さんの評判も良さそうなので、この度購入に踏み切りました。
読み取りやすい大きな文字盤と頑丈な作りが特徴。色もあまり日本製では見られない個性的なものが多いです。
この時計はコンパス、高度計、気圧計、温度計の機能があり、気圧変化のトレンドを示すグラフや、磁気が示す北と地球の自転軸の北(本来の北)の両方を示す事ができるところが凄いです。コンパスは本体付属の水準器により正確に測定ができます。
気になる高度計機能は、フィートとメートルの表示が選べ、最高29,500フィート(9,000メートル)まで10フィート(3メートル)単位で測定できます。垂直高度率、ログブックメモリー、基準参照高度、高度アラーム等の機能付き。
これだけ複雑な機能が備わっている割には、階層メニュー式のモードを持っているので、コツを掴めば比較的簡単に操作できます(これも凄い)。

本体は強化プラスチック製(メタル製のもあります)で、バンドはポリウレタン製。気になる接合ピン部分も、やたら丈夫そうです。
本体の裏側も凝っているので紹介しましょう(写真5)。センサーまでの通気性と汗かき防止のためと思われる複雑な溝がたくさんついています。
写真5
電池蓋も、コインで簡単に取り替えができるようになっていますね。よく考えられています。

気のついた点は、でかすぎること。夏だとさすがに時計の下に汗をかきやすいですね。ただし、でかいおかげで表示も巨大なので、お年寄りや弱視者にも喜ばれるでしょう。視認性は抜群です。ただし、秒数表示に難点が・・・秒表示は周囲をドットが廻って示すのですが、秒数の把握がとても困難です。

あとは、バックライトが暗いことくらいかなあ。バックライトの明るさは、電池の節約のためかもしれません。実用性には問題ないです。

今のところ良さげですが、まだ冬に使用していません。1シーズン以上使ってみてから、また使用感を報告いたします。
ちなみに、ほりかわ@粉犬さんからは、
「昨シーズンからの使用ですが,高度の誤差の修正など吹雪の中でもグローブをしたまま行なうことができ大変満足しています。今まで,プロトレックやアヴォセットなどを使っていましたが性能といい,使い心地といいダントツといっていいでしょう」という、喜びの声が届いています!(^_^)

(03.03.31)追記:さて、スントを二シーズンほど使ってみたので、使用感を報告いたします。
私はジャケットの上から装着したかったので、SUNTO純正のロングタイプベルトを入手して使ってみましたが、それでも私には長さが足りなくて、結局empexFIELD-MESSEのゴムバンド製ベルトを取り外して、スントへ取り付けて使っていました。
スントにもいくつか問題点がありました。
1.スペア電池が入手しずらい
CR2430という、かなり特殊な電池を使っており、一般の家電店には売っていません。
私は登山用品店で入手していますが、そうでない地方の方はまず入手できないでしょう。交換作業自体は(プロトレックと違って)とても楽です。
2.表示が見づらい
表示が大きくて見やすいという話と矛盾しているように思えますが、斜めに見ると本来見えない筈の液晶表示が黒く見えてしまい、数字を誤読してしまいます。液晶の質自体はあまり良くありませんね。

欠点とは関係ありませんが、私はGPSを腕に付けて使うようになってから、大きくて嵩張るスントを使わなくなってしまいました。安価なカシオ製の防水の電波時計を割り切って使っています。結局これじゃなんのための登山時計のページか、分かりませんね・・(^_^;)


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