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2003年12月28日(日)
三段山BCレスキュー搬送訓練

この訓練の主旨(訓練冒頭の旦那の挨拶より抜粋)
この度、三段山クラブ、ガイドの山小屋、Qaliは、同じ山域で活動する仲間として、遭難時にお互いを助け合う互助会を結成することにしました。
具体的には、遭難時にお互いの有志役員を緊急連絡先として、初期救助活動を行うというものです。
その互助会としての活動の一環として、今回搬出訓練を行うことになりました。
山中で行動不能に陥った場合、我々未組織登山者は、ヘリやスノーモビルによる救出を第一に考えますが、ヘリが飛べない、スノーモビルも出動できない状況も考えられますし、自己責任としてできるだけ私たちの力で救助活動を行いたいと思います。
昨年は、我々だけでも三名が山中で骨折事故を起こしました。幸い自力下山が可能な部位の骨折でしたが、もし足を骨折していたら、今回のような搬出作業を行うことになります。
これは明日にでも必要になるかも知れない技術の訓練です。どうか、皆さん真剣に取り組んでください。

一斑 担当 ぱっちまん
polly(病欠)、マーボー、じゃん、田中パパ、ナマコ、ナガ

二班 担当 MARIC
スー、キャプテン、旦那(記録担当)、かっちゃん、toshi、N崎

午前:
9:00〜9:30 テント場で練習場所確保(踏み固め)
9:30〜11:00 二班に分かれてソリ作り実技(インストラクター:ぱっちまん・MARIC)
11:00〜11:30 ビーコン訓練
午後:
12:00〜12:30 一段目へ移動(二班に分かれる)
13:00〜14:00 現場でのソリ作り
14:00〜15:30 一段目の上から下まで搬出訓練
16:00 解散

各自の必要装備:(通常の日帰りBC装備に加えて)
細引き3mm×10m
スリング1.5m×一本
ザイル6mm×10m以上
カラビナ3個
ステン針金径0.5mm以上×5m(推奨)
ペンチ
ザック、スコップ、ポール
ゴムバンド60センチ×5本以上
ツエルト
ホカロン(貼り付けるタイプ)×6個(搬送される役の人が用いる)
ヘッドライト

天候:曇り〜小雪
風速:0メートル
気温:-6度
雪量:不十分
雪質:深さ20センチ程度のパウダー
コース:白銀荘〜一段目


白銀荘前キャンプ場
雪を踏み固めて場所を確保

板を二本使ったソリの制作

引っ張るためのザイルを取り付けた様子

ザックやスコップを取り付けた様子

固定には、すべて秀岳荘ゴムバンドを用いた

板を4本使ったソリの制作

板の連結には、ポールやシャベルのシャフトを用いる

ゴムバンドでの固定の様子

さらに細引きで固定する

板部分の完成

板の上にザックを取り付ける

搬送される人の保護・保温
レスキューシート・カイロなどにより、低体温症に対処する

ツエルトのくるみ方
雪玉をアンカーにする

足の方向から、次々とアンカーを作る

顔までくるむ

完成

ツエルトでスマキにした状態で引っ張ってみる

スリングの使い方・ロープの結び方など

実際にソリに載せて引っ張ってみる

ソリに搬送者を固定した状態

全員で引っ張ってみる。この人数だと問題なし

ビーコン訓練

各種ビーコンの操作法講座

場所を一段目上に移して、実地訓練
一斑の様子

一斑のソリ完成

搬出
引っ張る人数が5名と少なく、苦戦

二班の様子

二班のソリ完成

搬出
ラッセルしながらの搬出は困難を極めた
搬出訓練は、当初一段目の上から白銀荘まで搬出予定だったのに、搬出者の体温低下と、雪が深くてソリを引く抵抗が大きくて一段目下で搬出を断念してしまった。予想以上に困難な作業だった。
ナガさんの感想
参加の皆様、お疲れ様でした。僕はロープワークすらなっていなかったので、同じ班の方には迷惑をかけてしまいました。勉強します。
あんな短い距離の搬送でさえとても大変だったのに、実際に山奥でヘリもこれない状況を考えるとぞっとします。怪我をしない滑りをすることがやっぱり重要なんですね。


旦那の感想
今回の訓練で一番重要な教訓は、ナガさんのおっしゃるとおり、搬出はとてもとても「大変なこと」という事です。搬出作業は簡単な事じゃない・・もの凄く大変な事だから・・BCでの怪我には気を付けよう!
搬出について細かなことですが、いろいろな事が分かりました。
1.スキーソリの制作には、秀岳荘ゴムバンド(60センチ)が絶大な威力を発揮する。一人、5本は携帯しよう!
2.スキーソリは、深雪では二本を使うタイプでは搬出は難しい。4本タイプを基本にしよう。
3.搬出される人は移動中に低体温症に陥りがち。保温はとても重要。
4.状況によっては、スキーソリの制作(1時間かかる)をきっぱり諦めて、ツエルトによるスマキ搬出が手っ取り早くて良いこともある(あるいは背負っての搬出)。
5.今時期の雪質だと搬出にかかる人出は、最低5名。つまり6名以上のパーティで、初めて自力搬出が現実的な選択肢となりうる。しかも、途中に登りがあったらアウトである。
6.今回準備した装備のうち、針金のみ使用することはなかった。けど、非常装備には入れておこう。
7.今時期の搬出を困難にする一番の要因は、引き手のツボ足歩行が埋まってしまい困難であること。この点は、スノーシューを携帯しているボーダーの方が有利かも知れない。

まーぼーの感想
よい体験できました。
ツエルトに巻かれると、寒さ+精神的にかなり辛いです。
巻かれた途端に無口になって、時間が経つとみんなの笑い声がムカツクようになります。
あとは、早く運んで開放してくれよぉと思うばかりです。
みなさんもお試しください。

ぱっちまんの感想
今回の訓練は自力・他力(ヘリなど)の判断なども含めていい経験になりましたね。
細かな点が再確認できました。
ながさんへ、ロープワークに自信なければ、ポケットにいつも細引きを隠しといて暇な時にやってるとすぐに覚えますよ!
(サラリーマンの時はいつもデスクの下にザイルを隠してたなぁ。)
搬送の事だけ考えると、8字結び、マスト結び(インクノットとかひょうたん結びだっけ?)ぐらいで何とかなりますよ。
あとできれば、プルージックと半マスト結びくらいでいいんじゃないかな。

キャプテンの感想
> 僕はロープワークすらなっていなかったので、同じ班の方には迷惑をかけてしまいました。勉強します。
まったく私も同感ですそれプラス自分の体力の無さを痛感しました。
本当にこの訓練が実際にならない事を祈るばかりです・・・
追伸:全身筋肉痛で家事に影響が・・・

なまこちゃんの感想
私も、なにもかもど素人で、皆さんにご迷惑をかけました。
ぽっけに細引きしのばせて、練習します。
昨日は、みなさんのおかげで、大変勉強になりました。
本当にありがとうございます。田中パパ風邪ひかなかったですか?寒くてとても辛そうでした。本当にご苦労様です。
ビーコン訓練の時は、一人で発信モードにして、デジタル斑の皆さんを惑わせてしまいました。みなさん、悪い女にだまされないように、気を付けましょう。(ごめんなさ〜いm(_ _)m)

N崎さんの感想
先日は皆さんお疲れ様でした。
やはり、自力での搬出はとても大変だなと感じました。(僕は搬出される方でしたが・・・・・)
そこで感じたことを、何点か言わせてもらうと
まずは、それなりに着込んでも(上はアンダーシャツ、薄手のフリース、ダウンジャケット、ジャケット、下はアンダーパンツ、薄手のフリース、オーバーパンツ)とても寒かった。
特に足先の冷たさはきついものがありました。足の怪我の場合は、ホッカイロを貼るわけにもいけませんし・・・・
次に、ツェルトに包まれる際、顔を覆われると圧迫感があるが、顔が剥き出しになると雪がかかる。(目出帽が望ましい?)
あとは、精神的にブルーになってくる。
いずれにしても怪我をしないよう、楽しみましょう。

Hiroさんのアドバイス
麓まで下ろすのはかなり厳しいけど、救助隊が来るまでの距離&時間稼ぎ、ヘリに拾ってもらえる場所までの移動手段としてはスキーソリは有効ですよね。


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