翌日、3月28日(日)に、山岳挑戦会のツアーが同じ山域で雪崩に遭遇しました。以下は、山岳挑戦会 しょうたろうさんより、転載許可をいただいたレポートです。何度も弱層試験を行っている様子など、大変参考になると思います。
また、雪崩れた箇所につきましては、しょうたろうさんにトラックデータマップに詳しい場所の情報を記入していただきました。
余市岳の雪崩報告:
前日に粉中毒をチェックし、山行計画書を4通製作、2通は家に置き、一通を届け、もう一通は携行用とする。
当日の朝、山行計画書の内容をメンバーで確認・加筆。雪崩手帳(仲間内で作った雪崩の心得)を確認、初めてご一緒する方に目を通してもらう。
後から思えば、この時点でも粉中毒(旦那が雪崩情報を書き込んだBC情報掲示板)を確認するべきだった。
登山口で情報を収集、昨日テレマーカーが北側で雪崩を見たとの情報を聞く、(旦那さんの事だと思う) 山行計画書を届ける所が無くなっていてビックリする。今後、余市岳に入られる方はこの事も注意してください。
余市岳の斜面に取り付き、休憩がてらショベルずりテスト、コンプレッションテストを実施、ピットも掘りルーペで確認、50cm位の所に強く叩けばずれる層を発見したが、結合は強く危険は少ないと判断し、登行を続行する。
風向きから南斜面を滑降する事に決め、降り口から偵察、一人ずつ慎重に滑る、奥の稜線に大きな雪庇がありその下に行かないように注意する。
東斜面下でランチにした、この際もピットを掘ってチェック。その後全員でアバランチレスキューの練習をする、時間の関係もあり、今回の内容は初歩的な物だったけど、雪崩に対する心構えを常に持ち続ける意味でも暇があれば必ずやるようにしている。
その後東斜面を少し登り返して滑り、また登ってピークまで抜ける。横ではモービルが凄い勢いで斜面を駆け上り、時には我々の登っている真上を横切ったりする。その様子を見て雪はかなり安定しているとの思いを強くする。
帰りに予定していた北斜面は風でガリガリの為、最も安全なラインをみんなで相談し、一度コルまで降りてゲレンデに出ることにする。
コルの北側から西北西に伸びる尾根上で停止し、急斜面のため一人ずつ慎重に滑り、残りの全員で滑っている人を注視する。この時、雪崩を誘発した。幅は10mで長さにして40mくらい、速度は遅く、雪は締まっていたためかスラブ状にずれた感じで深さは10cm程度。消失点を見失わないよう「しっかり見といて」と声をかけた。
雪崩の停まった時、身体が見えていたので安心し、声を掛けるると「大丈夫だよ」との返事があった。一刻も早く滑り降りたかったが、もう一度同じ場所で雪崩を誘発してしまう恐れを考慮し、少し回り込んでスキーヤーの位置に到着、お尻の下ぐらいまで埋まっていた。
考えられるミスとして、かなりの急斜面にもかかわらず誘惑に負けてしまった事。
何カ所か滑り、安全だったため油断してしまった事。
最後の最後で、もう帰るだけだしスキー場の近くまで来ていたこともあり、気が緩んでいた事。等が挙げられると思います。