Recumbent title 購入編 思い立ったが吉日?

さて、もうリカンベントを買うことは心に堅く決めたものの、大きな問題が残っていた。それは・・「家族の同意(世間体を含む)」と「置き場所」である。
これは自信を持って言えるが、予算があっても実際にリカンベントを購入する際に最大の関門になるのはこの二点だと思って間違いない。
リカンベントいいなぁ・・なんていくら夢想しても、この二点を突きつけられると、誰もが現実の厳しさを思い知り地獄の底へ突き落とされるのである。
リカンベントを欲しがる輩なんてすでに何台か自転車を所有していて、ただでさえ「置き場所」については肩身の狭い思いをしているだろうから「置き場所」問題は深刻だ。幸い自分の場合は、我が家の敷地に空きがあったので無理すれば置き場所はなんとかなりそうだった。
あとは「家族の同意」だ。
購入費用は全て小遣い(3万円/月)を貯めたものなので、本来なんら文句を言われる筋合のものではないのだが、やっぱりなんだか言いづらい。この私でさえ「高いなー」と思うくらいだから、嫁から見たらとんでもない価格だと思われるだろう。
さらに、リカンベントというヘンテコな自転車の説明も面倒だ。 なにしろこの価格に見合う具体的なメリットが自分でもうまく説明できないのだから・・さて、


■家族の同意

ここは慎重に・・時間をかけて家族(嫁)の同意を得るのが基本。しかし、兆しさえ掴めば俊敏に行動する。ここが肝要だ。

第一段階:(発注数ヶ月前から)
私「そろそろ自転車が欲しいなぁ。ほら、今の自転車には15年も乗っているし」
嫁「へー」
ここで焦ってはいけない。多くを語らずに、まずは自転車の必要性を訴えるのだ。
この段階は何度か繰り返して、しっかり下地を形成しておく。基礎が大事・・

第二段階(発注数週間前から):
「通勤用にちょっとこだわった自転車が欲しいんだよね・・」
「いくらくらいの?」
「ん~15万くらいかな?」(うそではない。この時点では15万円くらいのトライクを買おうと考えていた)
「ふーん」
この段階で通勤に使うという実用性のアピールと普通の自転車ではないという警告、大まかな価格帯を臭わせたわけだ。今までのところ反応は悪くない。
しかし、ここで浮かれてはいけない。あくまでも慎重に・・

第三段階(発注直前):
機は熟した。リカンベントの車種も(予算も)決まった。さぁ思い切って切りだそう、
「新しい自転車を買おうと思うんだ」
「どんな自転車?」
「リカンベントとかさぁ」
「えー気持ち悪い」(リカンベントを知っているという点でどうかとも思うが、さすが我嫁とも言える。嫁の抱いているイメージはどうであれ説明が省けてありがたい)
私は気持ち悪いとか言いながらも嫁の目の端が笑っていたのを見逃さなかった。あくまでも「気持ち悪い」だけであり、「ダメ」とは言わなかった点にも注目したい。
ここで私の脳内では「家族の同意」が取れた。つまりリカンベントを買っていいというゴーサインが出たと理解した。
少し気がかりだったのは、リカンベントの予算が約35万円に跳ね上がっていたことだった。
しかし価格の件は、聞かれなかったので何も言わなかった。ここまで来てわざわざ全てをぶち壊しにするリスクを冒すほど、自分は冒険家ではない。

さぁ、嫁が食器を洗っている隙にネットで発注しよう。兆しを掴んだら俊敏に行動するというやつだ。
その日の深夜にはセブンイレブンのATMにザクザクと札束を突っ込み続けている私が居た。思い立ったが吉日?我ながら驚く程の行動力。
納期は2週間くらいとのこと。ふふふ・・・

後日談(発注後、納車を待っていたときの話):
「ねぇ、あなた自転車を買いたいとか言っていなかった?」
「あーあれね、もう発注したよ」
「そうなの?で、いくらしたの?」
「え?えーと、うーん、いくらだったかな」
いくら?
「あー そうだな・・20万くらい。だった かな?」(嫁が心穏やかに暮らせるようにと、咄嗟についた善意の嘘である)
「・・・」
「・・・」
うそ
「え?何が?」
うそよ。だって机の上に出しっぱなしの請求書見たもん
「!!!!!」
40万円もしたんでしょ」(車体価格約35万円+オプション+諸経費が約40万円)
「;;;;;」<-脂汗
なんでうそ言うの!
「;;;;;ごめんなさい!
というわけで、その後お小遣いで買ったという抗弁はまったく信用されず(善意の嘘が仇になった)、さらに最近通販で買ったもの全てを(ほんの一部家計費からの流用あり)洗いざらい白状させられ、最終的に銀行カードを取り上げられた・・いわゆる家庭内禁治産者状態だ。
そして、そのまま現在に至る。
目的は達したのだ。反省はしているが後悔はしていない。

■置き場所

「だいたい置き場所はどうするのよ!」
そらきた。
「家の敷地の空いている場所に、自転車用の簡易テントを立てるから大丈夫」
「ふーん」
幸い、物置と家屋の間に丁度それらしい隙間があったので、そこへサイクルハウスを建てることにしたのだ。こいつの価格が近所のホーマックで15,800円。
もちろん、大事なリカンベント様をこの中にしまうわけがない。
物置の中の嫁や子供達の自転車をテントに入れて、その空いたスペースにリカンベントを収納するのである。完璧だ。
しかし、テントを設置するのは半日仕事で結構手間だった。なんとか、無事完成(写真)
これで受け入れ準備は万全だ。

南栄工業サイクルハウスSN-4


■購入までの流れ

ここで、問い合わせから納車まで販売店とのやり取りを時系列で整理しておこう。
HPV StreetMachineの購入は、北海道内では扱っているショップがないことから必然的に通販を選択することとなる。
国内の販売代理店を探して、折りたたみ自転車・小径車・リカンベント専門店のLOROとコンタクトを取った。海外からの直輸入だと円高もあって日本代理店で購入するよりも3割程度安くなるようだが、リカンベントという未知の乗り物に対して、少しでもリスクを下げるために日本代理店から購入することにした。
メールや電話に丁寧に対応してくれたLORO京都店には、大変感謝しています。

2009年4月5日
LOROへメールで問い合わせ、その後何度か電話にて相談。
一時、HPV GrassHopper FX(写真)という、StreetMachineを前後輪共に小径にして、折りたたみ可能にしたようなものにも色気を出したが、以下の理由で当初通りStreet Machineにした。

HPV GrassHopper FX


1.車体本体が約40万円という価格に尻込みした
2.折りたたみ機構に起因するトラブルと実際に折りたたんで使用する機会を秤に掛けて、トラブル防止を優先した
3.StreetMachineの乗り降りしやすいよう前輪が小径、後輪が慣性モーメントを発揮できるように大径というデザインは、とても理にかなっていると思った(LORO担当者の説明)。郊外を走ることが多いので、慣性モーメントの影響は馬鹿に出来ない。
4.自分はすでに小径フォールディングバイク(BD-1)を持っていたので、コンセプトが一部被った
しかし、GrassHopper(バッタ)というふざけたネーミングと車体色、機敏な小径車のリカンベントというのは魅力的だった。誰か買ってください(タカヤとか)。

納車は何ヶ月か待たされることを覚悟していたが、幸いStreetMachineだと私の希望するカラー(オレンジ)の在庫があるということで、そのことでも購入を強く後押しされた感じだ。
完全に組み立て、調整済みの状態で送ってくれるので、自転車素人の自分には大変ありがたい。そのかわり「届いたらその大きさにびっくりしますよ」という程大きな荷物になるようだ。

アップハンドル
アンダーハンドル


仕様について、
Street Machineのハンドルは、アップハンドルとアンダーハンドルが選べたが(写真)、アンダーハンドルとした。理由は「かっこいい」から。もしくは「リカンベントらしい」から。
ブレーキは雨天でもよく効くディスクブレーキ仕様とした。これは見た目にもかっこいい。

オプションについて、
専用フェンダーセット:通勤に使用することが前提なので、雨天でも走行できるように専用フェンダーを装着した。アップライトにフェンダーが付いていると大抵はかっこ悪くなるのだが、不思議とリカンベンにフェンダーが付いていてもかっこ悪いと思えない。 フェンダー付きの自転車に乗るのはとても久しぶりだ。

専用リアラック・LowRack:ラック類はリアとセンター、つまりフル装備とした。 リカンベントは鞄を背負って走ることが出来ないので、車体になんらかのバックを装着しなくてはならない。したがって、ラックは通勤用のバッグを取り付けるためにも必要なのだが、フル装備としたのはいつかリカンベントで長距離ツーリングをしたいと思っているからだ。
それに、このリカンベントはラックをフル装備した方がかっこいい。って、こればっかりだな。

Topeakバーエクステンダー:ライトとGPSを取り付けるためにバーエクステンダーも発注した。
B&Mサイクルミラー:後方確認をするため上半身を捻ることが難しいリカンベントでは、サイクルミラーも必須だ。
この二点は納車後に後付しても良かったのだが、最適な取り付け場所がよく分からなかったので、ノウハウのある販売店に任せた方が安心だと判断した。

●LOROからの見積り内容
HPV StreetMachineGTE(UnderHandle/Orange)Disc-Brake仕様 約35万円
オプション:
専用フェンダーセット
専用リアラック
専用LowRack
Topeakバーエクステンダー
B&Mサイクルミラー
防犯登録  500円
送料  キャンペーンサービス
合計 約40万円
(注:価格に関して、為替レートや仕様変更など生産サイドの諸事情によって変動する可能性があります。あくまでも参考価格としてください)

4月15日
嫁の許可が下りた(と思った)ので、StreetMachine の発注。
ショップから、セッティング用データとして以下の採寸を要求された。
1.身長
2.体重
3.股下寸法
(通常の自転車の計測方法と異なって、壁面に座って背をもたし腰をしっかり壁に押し付けた状態で臀部端部より足裏までの長さを計る)
さらに、「HPV社製品の御購入後・御走行の御確認」というものを読み、住所氏名を記入のうえ「旨了承しました」と返信することが求められた。
このような書類を要求されたのは初めてだ。この買い物の特殊性が伝わってきて少々緊張する。
この日、契約書に同意して代金を振り込んだ。納期について、さりげなくGWには乗りたい旨を伝えた。

4月24日
販売店より発送
当初、発注から発送まで2週間ほどかかるとの連絡を受けていたのだが、思ったよりも早く発注から9日で発送してくれた。もっと早く発送できる予定だったが、雨天で試走ができず遅れたとのこと。なるほど。
担当者からは、集荷に間に合わせるために梱包が多少雑になってしまったというお詫びのメールが入った。本当に丁寧な対応だ。
届くまでの間、佐川急便の「お荷物問い合わせサービス」にアクセスするのが楽しみだった。

4月27日
ついに我が家に到着
受け取った家人から巨大な段ボール箱が到着したと連絡が入った(相当驚いたらしい)。急いで帰宅すると、それが玄関からはみ出して置かれていた(写真)。うーん、確かにでかい。
真ん中の凸部分はハンドル。ここが梱包が雑になってしまった部分らしいが、まったく気にならない。





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